ハーモニックメジャー

Lesson
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一年前にリクエストされてからやっとお送りすることができます。
ハーモニックメジャー。
聞いたことのない方もいらっしゃるかもしれません。
現代の音楽をする上での基礎的な四つのスケールの最後の一つです。
未だメジャースケール、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーをやっていない方はそちらも是非なさってください。
では詳しくみていきましょう。

ハーモニックメジャースケールとは

19.20世紀の現代音楽の作家たちから生み出されたスケールです。
そのためか、リスト、ラヴェル、映画音楽などでよく耳にするサウンドです。
音はメジャースケールと比べると6度がフラットしています。
ハーモニックマイナーと比べると3度がメジャーです。
こう考えるとメジャーとメロディックマイナー、ハーモニックメジャーとハーモニックマイナーでそれぞれ3度の長短で関係があることがわかります。
ハーモニックメジャーとメジャースケールでは6度の長短で違いがあります。
つまりCハーモニックメジャースケールは

CDEFGAbB

です。

Triad

さて、このスケールから生まれるトライアドを思いつく限り書き出してみましょう。

C
C+
Csus4
Csus2
Ddim
(Dsus4b5)
E
E+
E-
(Eb2)
F-
Fdim
Fsus2
(F#4)
G
Gsus4
(Gb2)
Ab+
Abdim
Bdim 
(Baus4b5)

()のトライアドはリディアントライアドとかロクリアントライアドと言われるものでアドバンスドです。

多分一番特徴的なのがマイナートライアドが半音であるところです。
E-F-のところ。
Ⅲ-とⅣ-です。
ハーモニックマイナーがメジャートライアドが二つ、VとⅥbであったのとは対照的ですね。
そしてEがメジャーにもマイナーにも、オーギュメントにもなるのが面白いですよね。

頭が痛くなってきましたか?
次はテトラッドを見ましょう。

Screenshot

テトラッド

四和音です。

Cmaj7
C+maj7
Cmaj7sus4
C+maj7sus4
(Fdim7/C)
Dmin7(b5)
Ddim7
Emin7
E7
F-maj7
Fdim7
Fdimmaj7
G7
G7sus4
Ab+Maj7
Abdim7
Bdim7 

抜けがあるかもしれません。loc triadやlyd triadは考えてません。

Eがメジャーにもマイナーにもなって面白いですよね。

モード

次は各モードを見ていきましょう。

1. C Ionian b6

2. D Dorian b5 (Locrian2,6)

3. E Phrygian b4 (Altered 5)

4. F Melodic minor#4 ( Lydian b3)

5. G Mixolydian b2

6. Ab Lydian augment#2

7. B Locrian bb7

個人的にはどのスケールも弾いていて楽しいです。
スケールの名前はそのスケールに一番近いスケールを基にしています。
ですから、スケールの名前を覚えれば名前の通り音を変更するだけなので楽チンです。

特徴まとめ

ここまで見てきてサウンドが掴めたきたでしょうか?

特徴としてはⅢ-、Ⅳ-と半音でマイナーが続いているところ。
これはハーモニックマイナーがⅤ、Ⅵbでメジャーの半音で重なっている所になんとなく関係があるように感じます。
無いかもですが。
つまり、端的にハーモニックメジャー感を出す時はⅢ-/Ⅳ-のハイブリッドコードを弾くといいのかもしれません。

元々不安定だったフリジアンサウンドにmaj3rdが入ることでアンニュイさを増しているところも個人的にはたまらないポイントです。
元々弾きなれた音階が1音違うだけでここまで響きが変わるなんて、すごいですよね。

Ⅱ-Ⅴを弾いてみよう

さて、このコードスケールを用いてとりあえずはⅡ-Ⅴを弾いてみましょう。
ジャズは結局Ⅱ-Ⅴがうまいやつがジャズのうまいやつなのです。
ここに真理があります。

具体的にどうすればいいか考えてみましょう。
元の進行は以下の通りです。

key in C
Dm7 – G7 – Cmaj7 – A7

いわゆる逆循です。
ここに懸案のコードスケールから何も考えずに似たところを入れてみましょう。

Dm7(b5) – G7 – Cmaj7 – Ab+maj7

違和感なく入りました。
ほとんど原型を留めています。Abのところがだいぶサウンドも違いますが、あとはDm7(b5)はマイナーの2-5のつもりなのかな?くらいなサウンドです。
しかし、これくらいなら誤差と言っていいでしょう。
ほとんどサウンドが変わらないのでもう一工夫しましょう。

Dm7(b5,9) – F-/G G7(b9) – Cmaj7(b6) – A7(#9,b9)

どうでしょうか。
F-/GはG7sus4(b9)のことです。
ハーモニックメジャーにしかない感じがでてるでしょうか。
最初のDm7(b5,9)はメロディックマイナーにもあるのですが、次のG7sus4(b9)はメロディックマイナーにはなく、ハーモニックマイナーに存在するコードなので複雑な感じがするかと思います。
次のCmaj7(b6)は完全にハーモニックメジャーのコードなのでここでサウンドの同定ができそうです。
さて、最後のAb+maj7ですが、Dm7へのドミナントとしての機能が僕にはあまり感じられません。
ここは素直にA7にしてみましょう。
ハーモニックメジャーでドミナントの として機能しそうなコードが二つあります。
ⅤとⅢです。
ここではⅢのつもりでフリジアンb4を弾きましょう。
つまりはAオルタード5thです。

さて、ここまでが素直にコード進行にハーモニックメジャーを当てはめたものでしたが、今度は直感的に機能しそうなものを無理やり代入してみましょう。

Dmmaj7(#11) – Gm7(b4) – C+maj7(#9) – Am7(b4)

どうでしょう。
これを書いている時点ではギターもないのでサウンドがわかりませんが、なんか行けそうな気がします。
名前的には。

同じ進行をもう少しスタイリッシュに書きましょう。
今のままだと少し弾きにくそうです。

Dbm/D – Abm/G – B/C E/C – Bbm/A

大分すっきりしました。
これならソリストもハーモニックメジャーに縛られなくて良さそうです。

他にも色々とあるかと思いますが、ひとまず今回はここまで。

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Just Friendを弾こう

毎度の如くJust Friendをリハモして練習してみましょう。

もうここまで方々ならコードを見てスケールがすぐ出てくるかと思うのでメロディックマイナーの時のようなコンバージョンはしませんがご了承ください。

Screenshot

如何でしょうか。
こんなに入れなくてもいいのにってくらい全部に入れてます。

これだけ弾きこなせればあなたもハーモニックメジャーマスター!

フレーズ作り

やはり増2度を生かしたフレーズがいいのではないでしょうか。
6度を抜かせばメジャースケールと変わらないので普通サウンドになりますし、3rdを抜かせばハーモニックマイナーと見分けがつきません。
この辺りの特性を活かしてみましょう。

ハーモニックメジャーとハーモニックマイナーの関係

両方ハーモニックってつくけどなにか関係があるのでしょうか。
実はお互いがお互い、鏡像関係になっていて
ハーモニックメジャースケール由来のスケールで上昇する時と、同じインターバルで、下降するとハーモニックマイナースケール由来のスケールになります。
関係性を記しておいたのでご確認ください。

Screenshot
五度圏においても同じことが言える。

お互いが鏡像関係のスケールはきっと性質も真逆なはずです。
多分明暗とか、真逆なはず。
対応表を見ると、ドリアンで安定していて、離れるほど性質がかけ離れていってそうな感じがします。
どうなんでしょうね。

まとめ

現代の基礎的な四つのスケールのラスボス、ハーモニックメジャーでした。
使えて当たり前の時代に気づけばなっていることでしょうから、乗り遅れる前に習得しましょう。
一部ではすでにもうなってますし。
あまり難しく考えず、メジャースケール練習のお口直しのスナック感覚で練習してみてください。

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